面白い

今こそマーマイトとベジマイトの違いに向き合おう、そして漬物を作ろう

ニュージーランドを旅する人々に大きなカルチャーショックを与え続けている食べ物。

それがベジマイトマーマイトである。

僕はニュージーランドに住んでもう6年になるが、今までこいつらのことを「似たような食べ物」としてしか認識してこなかった。

だが以前よりも多様性が重視されるようになった令和の時代、そんなざっくりした考えでは通用しないだろう。

うっかり「ニュージーランドもオーストラリアも似たようなもんじゃん」とか言った日には袋叩きにされるじゃないか(例えです)。

だから今こそ向き合いたい、ベジマイトとマーマイトの違いに。

そんな思いで行動したら、なぜか漬物が進化したというお話です。

Contents

そもそもベジマイト・マーマイトとは何か

ベジマイトとマーマイトをよく知らない方のために、それぞれがいったいどんな食べ物なのか簡単に解説しておこう。

どちらもビールを醸造した際にできる残りカス……いわば「ビールの酒粕」から作られるペースト状の食品であり、ニュージーランドのスーパーマーケットに行けば簡単に手に入る。

20世紀初頭にイギリスで発明されたのがマーマイトで、その約20年後、第一次世界大戦でマーマイトが輸入できなくなったオーストラリアで代替品として作られたのがベジマイトである。

気になるそのお味だが、穀物由来の旨味はあるものの塩辛く、さらにビタミン剤のような独特の香りがするため、現地でも好き嫌いがわかれる食材だ。

一見チョコレートっぽい見た目と味のギャップはかなり衝撃的であり、「二度と食べたくない」と拒否反応を起こす人も少なくないとか。

トーストにバターと一緒に塗って食べるのが一番メジャーな食べ方。

薄く塗って食べると、醤油味のおせんべいみたいな風味がしておいしい。

写真みたいにベタベタ塗ると塩辛すぎて高血圧になるので、あくまでうすーく塗るのがコツです。

まずは観察してみよう

両者の違いを探るべく、近所のスーパーからベジマイトとマーマイトを買ってきた。

一瓶使い切れるか心配なので、本当ならホテルの朝食においてあるような一食分の使い切りサイズを買いたかったのだが見つけられず……

しかたなく一番小さいサイズの瓶を買ってきました。

さっそく蓋を開けて並べて見ると……あれっ、けっこう違うな!

左のベジマイトの方は茶色っぽい色をしており、表面は水分が少なくやや乾燥気味。

右のマーマイトはあきらかにベジマイトより黒っぽく、つやつやした光沢を放っている。

スプーンで少量すくってみると、その質感の違いがより明らかだ。

ベジマイトのほうが固形に近く味噌のような質感であるのに対し、マーマイトのほうはクリームのようになめらかなのがおわかりいただけるだろうか?

そのまま舐めてみると、香りと味にも明確な特徴がある。

ベジマイトは焦がし醤油のような穏やかな香りだが、マーマイトはビールに似た華やかな香りがする。

味は、ベジマイトは塩気が強く後味に苦味を感じる一方、マーマイトは穏やかな塩気で苦味はなく、どこか甘さを感じるのが特徴的。

「味のベジマイト、香りのマーマイト」という認識で間違いない。

あらためて原材料表記を見てみると、ベジマイトは酵母抽出物と食塩が主に含まれており、ナイアシンやチアミンなどの栄養素を添加していることがわかる。

一方のマーマイトは、酵母の次にベジマイトにはない「砂糖」が表記されている。

マーマイトのほうが穏やかな塩気で甘いのは気のせいではなかったのだ。

ここらで一旦表にまとめておきます。

ベジマイト マーマイト
茶色っぽい かなり黒い
質感 味噌っぽい固さ クリームのようになめらか
塩気が強く、後味が苦い マイルドな塩気。苦くない
香り 焦げた醤油のような香り ビールのような香り
トーストでも食べてみましたが、似たような感想だったので割愛。やっぱベジマイトは茶色いね。

そうだ、キュウリを漬けよう

ベジマイトとマーマイトの味の違いは理解できたので、この記事の当初の目的はすでに達成された。

しかし、せっかくならそれぞれの味の違いを活かした新しいレシピを試してみたいところ。

ベジマイトのほろ苦い後味や、マーマイトの華やかな香りを活かせる料理は無いものか?

と考えていたら、ひらめいた。

野菜を漬けてみるのはどうだろう。

そもそもの原料がビール醸造の副産物、つまり大麦を発酵させたものなわけだから、麦味噌の遠い親戚じゃんと考えればあながち間違ってもいるまい。

手っ取り早く漬物になりそうな野菜として、近所のスーパーからキュウリを調達してきた。

ニュージーランドのキュウリは太さが日本のやつの2倍くらいあり、ちゃんと漬かるかどうか若干心配ではあるが……まずはやってみようじゃないか。

ざっくりと4等分に切りまして。

切ったキュウリをビニール袋の中に入れ、ベジマイトとマーマイトをどばどばと投入し、よくなじませる。

すっかりベジマイトに浸かったキュウリ。
こちらはマーマイト。

キュウリ半分に対し、ベジマイトとマーマイトそれぞれ小さじ大盛り2杯を使用した。

さらにベジマイトの苦味やマーマイトの強い香りを中和させる目的で、みりんを小さじ軽く1杯混ぜ込んでいる。

「なんで俺、ここにいるんだろう?」と緊張した面持ちのみりん。

漬けているうちに判別がつかなくなるといけないので、念のためラベルを貼っておく。

字が細くてわかりにくいですが、上の袋に「ベジ」、下の袋に「マー」と貼ってある。

茶色いほうがベジマイト、黒いほうがマーマイトでしょ、わかるけど一応ね、一応。

で、あとは冷蔵庫にイン!! 二晩ほど寝かせてみる。

美味しくなりますように。

そして二日後、いよいよ開封して味を確かめる。

ぱっと見では十分浸かっているようだが、果たしてお味のほうはいかほどか。

袋から取り出し、軽く水で洗ってから切ってお皿に盛ってみた。

見た目にはあまり違いがないが……

食べてみるとびっくり、それぞれ個性的な漬物になっている!!

ベジマイト漬は醤油漬けか味噌漬けのような香りがして、ほどよい塩気の中にうっすら残る苦味がオトナの風味をかもしだしている。

一方でマーマイト漬の方は、華やかなビール臭がしながらも酸味と甘さが感じられる味で、強いて言えばぬか漬けに近い。

どちらも漬物の味にはなっているが、日本のどの漬物とも違う、「無国籍漬物」と呼ぶにふさわしい出来栄えになった。成功だ!!

念のため三日寝かせたバージョンも試してみたが、マーマイト漬はさらにぬか漬けっぽい風味が強まり美味しくなったものの、ベジマイト漬は苦味ばかりが目立つようになってしまった。

ベジマイト漬は浅漬程度に、マーマイト漬は時間をかけて漬けるのがベストのようだ。

みんなもどんどん野菜を漬けよう

ここまでやってみて「ベジマイト漬」も「マーマイト漬」もすでにあるレシピだったらがっかりだよな、と思いながらインターネットで検索してみた。

どうもヨーグルトにベジマイトを少量混ぜてぬか漬けっぽいものを作るレシピは存在するが、ベジマイトやマーマイトそのものをがっつり使う漬物はないようだ。

これは新しい食べ物を生み出してしまったと言ってもいいのではないだろうか!

ベジマイトとマーマイトの違いに向き合うところから書き始めたこの記事だが、思わぬところに着地してしまった。

皆さんも台所の隅でホコリをかぶっているベジマイトやマーマイトがあれば、ぜひ野菜を漬けてみてください、美味いんで。

薄切りにしたカブを漬けても美味しかった。可能性は無限大。
ABOUT ME
はっしー
日本のIT企業で月100時間超えの残業を経験、過労死しかけた元社畜の34歳。理想のワークライフバランスを求めてニュージーランドの大学へ留学、プログラマとして現地就職。毎日定時帰宅の生活をエンジョイした後、永住権を取得。現在は無職です。