ニュージーランドには一年の始まりが2つあるってご存知ですか?
ひとつは日本と同じ、毎年1月1日の「New Year’s Day」。翌日の2日とあわせて、国民の祝日に指定されています。
そしてもうひとつが、先住民族マオリ族の新年である「マタリキ」です。今回の記事ではマタリキについて詳しく解説していきます!
マタリキはいつ?
マタリキは、マオリの暦(太陰暦)をもとにしているので、日本のお正月のように決まった日があるわけではありません。毎年6月〜7月ごろにやってきます。
「マタリキ」とは、マオリ族の言葉で「すばる(プレアデス星団)」のこと。
すばるは、ニュージーランドでは5月頃に一旦地平線の下に沈んで見えなくなります。しかし1ヶ月ほど経つと、夜明け前の北東の空にまた輝きはじめます。これが新年の始まりの合図なのです。
正確にいつマタリキをお祝いするのかは、各部族によって異なります。すばるが見えたらすぐに祝うところもあれば、次の新月まで待つところもあるのだとか。
お祝いする期間にもばらつきがあり、「今年は何月何日がマタリキ!」と国全体で決まっているわけではないんですね。
マタリキにまつわる神話
すばる(マタリキ)がなぜ新年を告げる大事なものとされているのか?
そこには、マオリ族の神話が関係しています。以下に紹介しましょう。
その昔、世界には大地の神パパトゥアヌクと、空の神ランギヌイがいました。
ふたりの子どもたちは、大地に光と生命を与えるため、両親を引き離すべきか(空と大地を創造するべきか)について意見がわかれていました。
しかし子供のひとりであった森の神タネ・マフタが、強引に彼らを引き離してしまいます。
これを見た風の神タウヒリマテアは怒り狂い、自分の目をえぐって(!)天界へと投げ込んでしまったのです。
タウヒリマテアの目は数々の星座になり、そのひとつがマタリキとなりました。
マタリキは冬至のあと空に昇り、弱まった太陽にエネルギーを分け与えているのです。
(参考: The Story of Matariki)
……思ったよりずいぶんと荒っぽい話でしたが、真冬を過ぎてマタリキが再び空に輝くと太陽の力が強まっていく = 新しい年が始まる、ということなんですね。
ちなみに「マタリキ」には、マオリ語で「小さな目」「神の目」という意味があります。この神話を聞くと納得です。
マタリキのお祝いの仕方
もともとマタリキは、マオリの各部族の間でのみお祝いされている行事でした。
家族や親戚で集まり、先祖代々の霊をしのびながら、食事や歌を楽しむのが伝統的なマタリキの過ごし方だそうです。日本のお盆と正月を一緒にしたような感じですね。
しかし2000年代のはじめにマオリの文化を復興させる運動が起こり、その一環としてマタリキもニュージーランド全体に広がることとなりました。
現在ではマオリ族に限らず、ニュージーランド各地でマタリキにまつわるイベントが行われています。ぜひ皆さんのお近くでも開かれていないかチェックしてみてはいかがでしょうか!
2022年からはマタリキが国民の祝日に!
2021年7月2日に政府から公式発表があり、2022年からマタリキが国民の祝日となることが決まりました! ジャシンダ首相が以前から公約にしていた内容が実現した形です。
マタリキの期間中にあたる、6月〜7月の金曜日がお休みになるとのこと。
ニュージーランドでは貴重な3連休。南半球の真冬にあたるので、スキー旅行などに出かける人も増えそうですね。