さて、今回は久しぶりにニュージーランドの基礎知識編ということで、ニュージーランド公認のトランピングコース、グレートウォークス(Great Walks)をご紹介します。
ちなみにトランピングはキウイイングリッシュのひとつで、トレッキングやハイキングと同じ意味で使われます。
グレートウォークスとは
数多くのニュージーランドのウォーキングトラックの中でも、際立って素晴らしい景観や歴史を持つものをDOC(自然保護省)が選定した、いわゆる お墨付きコース です。
そもそも、ニュージーランドのほぼすべてのトラックが、DOCやカウンシルによってきちんと管理整備されていますが、中でもグレートウォークスはハット(山小屋)なども綺麗で設備の充実したところが多く、歩きやすくなっています。
数とエリア
1993年に初めて選定されたときは9コースでしたが、2019年12月1日にパパロアトラックが追加され、10コースとなりました。
現在、北島に3ヶ所、南島に7か所のトラックがあります。全長32kmから82kmまでのコースを、複数日にかけて歩いていくのですが、トラックによっては日帰りや一泊二日で入口だけでも楽しめるような場所もあります。
多くは国立公園内にありますので、国立公園紹介の記事もご参照ください。
初心者でも大丈夫?
DOCでは、トランピングコースを 6つのカテゴリ に分けており、その中でグレートウォークスは インターメディエイト/グレートウォークス カテゴリに属しています。
このカテゴリのコースは、あまり経験のない人でも楽しめる複数日トランピングコースで、一部はマウンテンバイクでも走行することが出来るものです。
コースはおおむね整備されていますが、一部ぬかるみや急坂等荒れた部分もあります。
また、どれだけ整備されているとはいえ、自然の中に入っていくことには変わりはありません。
お出かけになる際は
ことを忘れないください。
また基本的にカテゴリは、オンシーズン(10月もしくは11月から4月)を目安にしたものですので、オフシーズに出かける場合は一層の注意と経験が必要となってきます。
グレートウォークス:北島編
Lake Waikaremoana Track(レイクワイカレモアナトラック)
場所:北島東部 テ・ウレウェラ(Te Urewera)
距離:46km(ワンウェイ:起終点別)
日程:3-4日
近くの町:ワイロア(Wairoa)・ギズボーン(Gisborne)・ロトルア(Rotorua)
レイクワイカレモアナの湖岸線に沿って歩くコースは、テ・ウレウェラの一部でマオリの歴史もたくさん詰まっているところです。
パネキレブラフ(Panekire Bluff)からの景色は息をのむほどだとか。
Tongariro Northern Circuit(北トンガリロサーキット)
場所:北島中央部 トンガリロ国立公園
距離:43km(周回)
日程:3-4日
近くの町:トゥランギ(Tūrangi)・オハクネ(Ohakune)・ワイオウル(Waiouru)
活火山でもあるナウルホエ山(Mount Ngauruhoe)を一周するコースです。荒々しい溶岩流やクレーターなどの景色の中を歩いていきますが、コースの途中には美しいエメラルド色の湖や滝などを見ることも出来ます。
初日の行程は、人気のあるトンガリロアルパインクロッシングとほぼ同じなので、時間や経験などに合わせて選ぶとよいでしょう。
オフシーズンは危険が高いため、経験があり装備や技術がしっかりしている方たち以外にはお勧めされていません。
Whanganui Journey(ファンガヌイジャーニー)
場所:北島南西部 ファンガヌイ国立公園
距離:87km もしくは 145km(ワンウェイ:起終点別)
日程:3-5日
近くの町:ファンガヌイ(Whanganui)・タウマルヌイ(Taumarunui)・オハクネ(Ohakune)
ニュージーランドでも珍しいカヤック、もしくはカヌーでの旅になります。コースの長さは起点の場所の違いです。
森や渓谷など、風光明媚な景色の中をパドリングで下っていくのは、歩くのとはまた違った筋肉や体力を使うと思いますが、一生の思い出に残る旅になるのは間違いないでしょう。
グレートウォークス:南島編
Abel Tasman Coast Track(エイベルタズマンコーストトラック)
場所:南島北部 エイベルタスマン国立公園
距離:60km(ワンウェイ:起終点別)
日程:3-5日
近くの町:ネルソン(Nelson)・モトゥエカ(Motueka)・タカカ(Takaka)
海沿いでありながらも緑豊かな丘を進んでいく、世界中の旅人たちにも人気の高いコースです。干潮時には入り江の中を歩いてショートカットが出来るなど、ユニークな道も用意されています。
また、すべてが海沿いのコースな為、ウォータータクシーやシーシャトルでショートカットも出来、日帰りで奥の道を歩いたり、黄金色のビーチに海水浴などに行ったりすることも可能です。
Heaphy Track(ヒーフィートラック)
場所:南島北西部 カフランギ国立公園
距離:78.4km(ワンウェイ:起終点別)
日程:4-6日(マウンテンバイクであれば2-3日)
近くの町:ネルソン(Nelson)・ウェストポート(Westport)・コリンウッド(Collingwood)
ネイティブの熱帯雨林から草原、山、そして海まで、多種多様な景色が楽しめるコースです。5月1日から11月30日までは、マウンテンバイクでの通行も可能です。
西側はニュージーランド最奥の秘境と呼ばれるカラメアに繋がっており、そこから日帰りで最初の数時間の景色を楽しむことも出来ます。
Paparoa Track(パパロアトラック)
場所:南島西部 パパロアレンジ(Paparoa Range)
距離:55km(ワンウェイ:起終点別)
日程:2-3日
近くの町:ブラックボール(Blackball)・グレイマウス(Greymouth)・プナカイキ(Punakaiki)
一番新しいグレートウォークスであるパパロアトラックは、正式名称をPaparoa Track and Pike29 Memorial Track(パパロアトラック及びパイク29メモリアルトラック)と言います。このコースはグレートウォークスで初の、全季節でのマウンテンバイク走行が可能なコースです。
カルスト地形やネイティブの熱帯雨林、山岳地帯やそこから見る海を楽しめるだけでなく、かつての金鉱跡や掘削機械、金工夫の小屋など、歴史に触れることが出来る場所でもあります。
Routeburn Track(ルートバーントラック)
場所:南島南西部 マウントアスパイアリング/フィヨルドランド国立公園
距離:32km(ワンウェイ:起終点別)
日程:2-4日
近くの町:クイーンズタウン(Queenstown)・テアナウ(Te Anau)
雄大な南アルプスを縦断していきます。滝や湖など、珠玉の景色を眺めているこのコースは、距離は短いながらも記憶に残るコースであることは間違いありません。
オフシーズンは危険が高いため、経験があり装備や技術がしっかりしている方たち以外にはお勧めされていません。
Kepler Track(ケプラートラック)
場所:南島南西部 フィヨルドランド国立公園
距離:60km(周回)
日程:3-4日
近くの町:クイーンズタウン(Queenstown)・テアナウ(Te Anau)
テアナウ発着で集会できるこのコースには、フィヨルドランドの魅力が全て詰められています。湖畔の森、高原、氷河に削られた谷、山々や川など多彩な風景を堪能してください。
Milford Track(ミルフォードトラック)
場所:南島南西部 フィヨルドランド国立公園
距離:53.5km(ワンウェイ:起終点別)
日程:4日
近くの町:テアナウ(Te Anau)・クイーンズタウン(Queenstown)
150年以上の歴史を持ち、ユネスコの世界自然遺産にも登録されているミルフォードトラックは、世界で一番美しい散歩道 として世界でも有名なコースです。オンシーズンは完全予約制ですが、人気の高さから1年前から予約が埋まってしまう日程もあります。
マッキノン峠やサザーランド滝、峡谷や美しい森などニュージーランドでも屈指の美しい景色を抜けて、最後はミルフォードサウンドに到着します。
オフシーズンは危険が高いため、経験があり装備や技術がしっかりしている方たち以外にはお勧めされていません。
Rakiura Track(ラキウラトラック)
場所:南島南部 スチュワートアイランド
距離:32km(周回)
日程:3日
近くの町:ブラフ(Bluff・フェリーで1時間)・インバーカーギル(Invercargill・飛行機で20分)
ニュージーランドの南橋に浮かぶスチュワートアイランドでは、人々の文明から離れた数千年前から変わらない景色の中を、鳥たちの声を楽しみながら歩くことが出来ます。鳥たちのサンクチュアリに指定されているこのコースでは、もしかしたら野生のキウイに出会えるかもしれません。
安全を確保して楽しいトランピングを
ニュージーランドの10の多彩なコースはどれも魅力的で、全部歩きたくなってしまいます。(歩かずに漕ぐところもありますが)
最初は、次は、どこに行きましょうか。
ニュージーランド国内にいらっしゃる方も、これからニュージーランドに来られる方も、機会があれば是非グレートウォークスに足を延ばしてみてくださいね。