こんにちは、はっしー(@hassy_nz)です。
わたしは2020年11月から、車一台でニュージーランドを一周する旅に出ていました。
クライストチャーチを出発して南島を東海岸に沿って南下。最南端スチュワート島を訪れた後に西海岸を北上してフェリーで北島へ渡り、西からぐるっと一周。
そして2021年7月、8ヶ月以上をかけてついにクライストチャーチに帰ってまいりました!
今回の記事では、ニュージーランド一周の中で特に印象に残った忘れられない景色を5つ、厳選してご紹介します。
観光客のいない、静かなテカポ
まるで夢の中のように真っ青な湖と、全天に広がる星空で知られる観光地・テカポ。
この土地を訪れたのは、まだニュージーランドが国境封鎖中だった2020年11月でした。
普段なら観光客でいっぱいなはずのマウントジョン天文台にも、自分ひとりだけ。湖と町を見下ろす眺望を独り占めです。
今では日本人にも有名になったテカポですが、つい5、6年前まではただの小さな村にすぎませんでした。それがここ数年で「発見」され、訪れる人の数が急増。
いつしか町のシンボルである教会の周りにも柵が張られ、静かな湖畔の町の雰囲気が次第に崩れていったのは否定できません。世界的なパンデミックがニュージーランドを外界と切り離した結果、皮肉にも、かつての静かだったテカポの姿がほんの少しの間取り戻されたように感じられました。
「もう一度見たい」といいつつ、きっと生きてる間にこんなテカポの姿を見ることは二度とないのだろうなと思います。
終始天気に恵まれたミルフォードトラック
2020年12月25日から29日にかけて「ミルフォード・トラック」と呼ばれるトレッキングコースを歩いてきました。
全長およそ53km。シダや南極ブナの生い茂る森を抜け、森林限界を突破してそびえる峠を越え、最後はフィヨルドの入り江に到達する道のり。「世界一優雅な散歩道」の二つ名で知られ、世界中のトレッキング愛好家のあこがれとなっています。
一年の大半が雨というくらい降水量の多い地域なのですが、旅程中は高気圧に覆われて、これ以上ないほどの天気に! 最終日のミルフォードサウンドクルーズも快晴の下で楽しむことができました。
早々道に迷って遭難しかけたのもいい思い出です。
地の果て「カラメア」で見た山奥の洞窟
南島西海岸のハイウェイをひたすら北上した先にある、人口わずか600人の村「カラメア」。
そのさらに山奥に位置する洞窟群「オパララ天然橋群」は、わざわざ長い道のりを通っていくだけの価値のある、実に幻想的な風景でした。
薄暗い洞窟の中を流れる紅茶色の川。聞こえるのはただ、水のせせらぎと風の音、そして鳥の声だけ。死者の国へ一歩足を踏み入れてしまったような感覚を覚えました。
でこぼこの山道を40分ほど走らなければたどり着けず、とにかくアクセスの悪さが半端ない。それでもせっかくニュージーランドにいるなら一度は見ておきたい絶景です。
詳しいアクセス情報などは個別記事でも書いておりますので、ぜひどうぞ。
秘境の宿で見上げた満天の星空
南島の北部、マルボロサウンドという地域にある宿「Hopewell Lodge」。辺りを入り江に囲まれ、ボートを使わなければたどり着くのも難しい、まさに秘境と呼ぶにふさわしい場所です。
ここの露天風呂に浸かりながら見上げた星空は、旅の中でも屈指の美しさでした。露天風呂はちょうど宿の光が入らない場所にあるので、南十字星はもちろん、天を貫く天の川もはっきり見ることができます。スマホのナイトモードで撮った写真では半分も伝わらないのがくやしい!
ちなみに露天風呂は昼間でもこの景色。たまりません。
魂が死者の国へ旅立つ地「ケープ・レインガ」
「ケープ・レインガ」は、北島の最北端に位置する岬です。
先住民マオリ族の神話では、死者の魂がこの場所からあの世へ旅立つと伝えられています。
ケープ・レインガの灯台を収めた写真を目にしたことのある方は多いと思いますが、もうね、どこからどう写真を撮っても絵になるんですよ。フォトジェニックとはこういう場所のことを言うんですね。
この岬は南太平洋とタスマン海がぶつかる場所でもあり、海の雰囲気もずいぶん違います。まるで生き物のように白い波が渦巻いている様子が印象的でした。
森を見守る聖なる樹「タネ・マフタ」
「タネ・マフタ」は、北島北部ワイポウリの森の中にそびえる、高さ50m以上になる大木です。樹齢は定かでないものの、1250年〜2500年と推定されています。
これはニュージーランド固有種「カウリ」の木。ニュージーランドにはかつて広大なカウリの森があったものの、伐採で大きく数を減らし、現在ではワイポウリ周辺にわずかな数を残すだけとなってしまいました。
タネ・マフタは現存するカウリの中でも最も大きいもので、その名はマオリ族の神話に伝わる森の神に由来しています。周りにさまざまな種類の木がある中で、一本だけずどんとそびえ立つ姿は神と呼ぶにふさわしいものです。
かつての日本人も巨大な岩や木を神として崇めていた歴史がありますが、マオリ族の精神性とも共通する部分があるのかもしれませんね。
北から南までぐるっと巡ってきたわけですが、この旅を通じてあらためてニュージーランドの魅力を再発見できました。
土地によって全然景色も違うし町の雰囲気も違う。人がいる場所にいても楽しいし、何もない場所に行ってもまた楽しい。
都会や観光地ばかり巡っていてはわからない、この国の良さに気づける旅だったな〜と思います。
一周旅は一段落しましたが、このあとも旅に関する記事は書いていくつもりですので、引き続き楽しみにお待ちくださいませ。それではまた次回!