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Dawn Raid – 明け方の急襲 パート1

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こんにちは!PINのけんです。寒すぎる。今週は南極からの寒い寒い攻撃でニュージーランドは過去最高寒いですね。過去最高に寒いって変だよね。

ワーホリビザの延長の発表があったり、新たな時給規定の開始日が発表されたりと、更にバタバタしています。

【ビザ】ワーキングホリデービザの延長2021年6月に発表されたワーキングホリデービザ延長の簡単な説明です。...

永住権の審査も数件始まり、1件は審査官から何の追加情報も聞かれずにすぐに発給されました。準備が審査を左右するよね!そんなこんなでここ数ヶ月はビザの申請と移民局への対応で落ち着かない日々が続いています。

今回はあまり語られない(少なくとも日本人の間では、多分)ニュージーランドについてです。

パート2はここからどうぞ。

Dawn Raid – 明け方の急襲 パート2ニュージーランドの歴史の1つ、ドーンレイドのお話の第2弾です。 ドーンレイド中には何があってどのように終結していったのか、余り語られない(と思う)ニュージーランドについて書いています。 ...

Dawn Raids – ドーンレイド

Dawn Raidsは、早朝の事前通告なしの立ち入り調査、つまりガサ入れを意味します。

Dawn Raidと言えば、レコード会社を思い浮かべる人もいるかもしれません。

もちろんこれも無関係ではないのですが、今回は更に時を遡り1970年代から80年代が舞台となります。

この時期に政府(主に移民局)が主体となって進めていたのが、不法滞在が疑われる移民に対するドーンレイドです。明け方にドアを叩き、滞在権利の証明が出来なかった人達を捕まえ強制国外退去へと追い込む手法で、多くの人達を恐怖に陥れました。

1973年の労働党(今の政権と同じだね)が始め、次の政党の国民党へと受け継がれます。

この時、不法滞在者(不法滞在容疑者)とみなすのに利用されていたのが人種で、アイランダーがターゲットとなっていました。

多くのアイランダー達が無作為に訪れる恐怖に震えながら暮らしていました。

事の発端

1950年代、ニュージーランドは国の成長に伴い不足している人材を、サモアやトンガ、フィジー等のパシフィック諸島から多くの移民を呼び寄せ、現地人が積極的にはやらない仕事をアイランダーに任せていました。

積極的な呼び込みもあり、1945年には2,159人だったアイランダーの人口は1971年には43,752人まで増加し、アイランダーが最も多く住む国と言われるまで成長をします。

オークランド内だけでも2万人以上が住み、今ではミリオンを超える家が並ぶ、グレイ・リン(Grey Lynn)、ポンソンビー(Ponsonby)、ハーン・ベイ(Herne Bay)にアイランダーの人口が集中していました。

 

ちなみに今のポンソンビーは白人が多く、2020年の5月にはマオリの住民に対しての差別でニュースになりましたね。

閑話休題。

 

移住の理由は、自国と比べると圧倒的に高い賃金や教育の質でした。順調に成長をしていたニュージーランドも70年代になると経済が停滞します。この煽りをうけ、犯罪率、失業率の増加、住宅不足の原因として移民がやり玉に挙げられました。

ヨーロッパや北アメリカ(統計的にはこの2つが最も不法滞在者率は多かったみたい)といった様々な国から移民はいたのですが、アイランダーに矛先が向きます。

結果的に「快く受け入れられた人達が、煙たがれる存在」へと移り変わっていきます。

「パシフィックの人達(文脈的には移民)を受け入れる余裕なんてない。」

「ポリネシアの人達を受け入れていく余裕なんてない。ニュージーランドの生活も知らないし、言葉だって通じない。」

「英国の血統・伝統を守れない。」

といった声も聞こえるように。

更にテレビの発展により、政府の「マーケティング」の一環で「移民がニュージーランド人の職や家を奪っている」というプロパガンダから、移民を脅威として認識するような土壌が完成されつつありました。

パート2へ続く

さてさて、長くなってしまったので、続きはパート2で。

2021年はパシフィックピープル大臣のウィリアム・シオが「We were dawn raided.(私達はドーンレイドされた。)」と話し、アーダーン首相が正式に謝罪をすると発表された年でもあります。

「何故今なのか」という声も聞こえてきましたが、大きな節目となりました。

小学校からこのドーンレイドについて学ぶ機会もあるし、ニュージーランドの歴史の授業が始まることもあって今まではあまり触れられなかったことに積極的に触れられるようになります。

それに合わせてしっかりと歴史を語れるように、何らかのけじめをつけたかったのかもしれません。

知り合いのアイランダーと話していると、差別の実態や体験をたくさん教えてくれます。

アジア人の自分も、10年位前までは顕著に行われていたアジア人差別を経験したのでアイランダーやマオリに向けられる差別とは異なる差別の話をシェアします。ニュージーランドは差別がない(もしくは少ない)と声高に語られる度に、少し違和感を覚えることに共感してもらえる数少ない友人です。

昨今の移民に対しての政策を見ていると、対象がアイランダーから「移民」という括りに変わっただけで、同じような歴史を繰り返している様な錯覚にとらわれますし、ビザの規定の変更がある度にハラハラします。

 

返信が滞ってしまっているので、仕事に戻ります!

このタイミングで、9月から再開する予定でいた大学で教えているコースが前倒しの7月から再開となり夢の中でも準備を進めています。

コロナの影響でしばらくお休みしていたコースなのでドキドキです。ちゃんと教えられるかな?

緊張してご飯も喉を通らないのでアイスクリームを食べています。

スライドの整理をして、内容を少し変更して、練習用の分析データ準備して、コードを書いて、勉強して、リハーサルして、発声練習だー!

あーあーあー。

じゃーねー!

 

Power In Numbersはイミグレーションアドバイザーの会社です。

ビザ申請だけではなく、移住相談や留学の相談も承っています。

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参考文献

The dawn raids: causes, impacts and legacy

Dawn Raids

Dawn Raids (New Zealand)

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