ちょっとしたきっかけでコロナのデータを(凄ーく簡単で本当に少しですが)調べました。
せっかくなので説明も兼ねて少しシェアしていけたらと思った次第です。
データはここ(陽性件数)やここ(Location of Interest)から見られますので、皆様も是非どうぞ♪
陽性件数のデータに関しては、政府の発表時とデータの発表時で微妙な差がある為に数字が1件から3件程度微妙にズレるので要注意です。今回利用しているデータは、隔離施設でのケースは除いてあります。
9月25日追記
グラフアップデート!
9月4日追記
ここ数日で新規感染確認数が半減(ほぼだけど)してきていたので、グラフをアップデートしました。
新規感染確認数は以前の警戒レベル4時のロックダウンに近い動きを見せ始めています。
これはなかなか良い兆候ですね!
前回は今の確認数30件弱の状態から警戒レベルの引き下げまで2週間近くかかっていました。
気になるのは8月27日以降の感染者が訪れた場所の数です。
警戒レベル4中ということでスーパーマーケットに数が集中しているので、もしここで新たな感染が発生していたら今後一時的な感染者数の増加が見られるかもしれません。
またそこからなだらかに数は減っていくでしょうが。
ということで、ロックダウンの効果は十分表れているように見えますね!
この調子でしばらく頑張っていきましょう(長引くのは主にオークランドですが……)♪
デルタ株
まずは「1件でも陽性が確認出来たら即警戒レベル4に移行する」とニュージーランド政府に言わしめたデルタ株の、今把握されている事柄について簡単なおさらいから。
潜伏期間、感染可能期間、アルファ株(イギリス株とも)との違い
中国の169人を対象にした研究で、デルタ株の潜伏期間は平均して4.0から5.8日間と発表されています(1)。感染者の73.9%(95% CI: 67.2%, 81.3%)は症状が出る前に他者への感染が起きています。
感染可能期間に関しては、デルタ株が他の株より長いと判断するエビデンスは不足しているとのことですが(2)、今までの重症化した患者の傾向からは18日間程度と予測されています(3)。
デルタ株の基本再生産数(R0といって1人が免疫を持っていない他者何人に感染させるかの期待値)は5.08となっています(4)。これは、平均的に1人が5人に感染させることが可能性があるということです。
更に、アルファ株に比べて2.3倍(95% CI: 1.3倍、3.9倍)重症化するリスクが高くなっているとの報告もあります(5)。
注:アルファ株と比べている理由はイギリスの論文を利用しているからです。
今回の警戒レベル4
去年の2月から
まずは去年2月からの日々の新規陽性件数から。
下のグラフは去年の2月から今までの毎日の新規陽性件数を表しています。
綺麗にいくつかの山がありますね!
この山の度にニュージーランド(オークランドだけの時もあり)ではロックダウンがありましたが、それ以外は基本的には、公共交通機関以外ではマスクなし、ソーシャルディスタンスなし、フェスを含めたライブ有りの、「今まで通り」の日常が送れています。
1回目のアウトブレイク
下のグラフは1回目のアウトブレイク時の始まりから1回目の収束までの1日の陽性件数の推移です。
1回目の特徴は3月23日から警戒レベル2となり、感染の増加が止まらないことから3月25日23時59分から警戒レベル4へと移行したところ。それまでは比較的自由にウイルスが動ける状態でした。
それでもピークの83件に達するまではしばらくかかり、その後ロックダウンから順調に収束しているのが読み取れます。
感染者の増加率がそこまで大きくないのは、「検査をする」という習慣がまだ根付いていなかったこともあり、感染者が検査を受けるのが今より遅かった可能性もあります。
今回のアウトブレイク
下のグラフは今回のアウトブレイク時の始まりから8月28日までの1日の陽性件数の推移です。
1番の特徴は感染者数の増加速度ですね。
検査が徹底されていてより感染者を捉えやすくなったとはいえ、17日の1件から10日間弱で1日の陽性件数が80件弱となっています。
感染者の特徴
下のグラフは8月17日以前の感染者を年齢別に分けた割合を表していて、その下のグラフは8月17日以降の感染者を年齢別に分けた割合を表しています(棒の上の数字は実際の感染者数です)。
今回は感染者が高校や大学、モール等へ行っていたこともあり若い年代の感染者が多くなっているのが特徴です。それに対し、以前のケースでは若い世代より30代から60代の感染者の割合が多くなっています。
「若い世代は感染しにくい」ということはないので要注意です!
ロックダウンの人の移動に対する効果
下のグラフは感染者が訪れた場所(Location of Interest)の数を訪れた日ごとに表しています。
ロックダウン後から場所の数も毎日の追加数も減っています。ロックダウン直後はまだ人の移動があったことと、症状が出るまで知らずに移動していた感染者の移動があったことから、ちらほら注意スポットが出ていますが。
これだけ(一応は)動が抑えられているのですが、17日までの感染者が訪れた場所が、学校、交通機関、ショッピングモール、教会等、ニュージーランドで考え得るほぼ全ての「人が集まる場所」が網羅されているので、後から発覚する感染者が後を絶たないんですね。
アップルが提供している移動指数でも移動量の確認は出来ます(前回のロックダウンよりかは移動指数は高いのですが)。
移動指数は、2020年1月13日の動きを基準値(100)とし、そこからどれだけ差があるかを表している指数です。
ニュージーランド全国:
オークランド:
ロックダウン後の移動時に起こったかもしれない新たな感染の有無を正確に把握する為、オークランドの警戒レベル4はしばらく続くことが予想されます。
「ロックダウンの効果」の推定となるとまだデータが足りないというのが現状です。今後「感染者が訪れた場所」とは全く関係のない人達がどれだけ出てくるかの把握が必要です。
ロックダウン時の感染者数の推移
下のグラフは警戒レベル4移行日からの日数とそれに対しての毎日の新規陽性件数の推移です。
赤ラインの2020年はロックダウン後10日間は新規陽性件数が落ち着かないのですが、6日目のピークからは徐々に下がってきてはいます。
青ラインが今回のデルタ株のアウトブレイクなのですが、10日経った段階でもまだ感染確認数は落ち着いていないように見えます。とは言え、「ロックダウンの効果がない!」ということではなく、今の件数のほぼ全てがロックダウン直前・直後の移動時の感染だと思われます。
要は、ロックダウンしても感染が止まらないのではなく、ロックダウン前に感染していた人たちがあぶり出されている状態です。風邪の症状がある人、感染者に接触していたと思われる人達が一気に検査を受けているので文字通りのあぶり出しとなっています。
感染可能期間が18日程度で且つ感染力の強さを考慮すると、恐らくこの先数日は60-80件程度の新規陽性件数が続いたとしてもおかしくはないように思えます。
感染者が訪れた場所のマップ
Ministry of Healthが出しているマップです。
拡大するとわかるようにオークランドはほぼ全域ですね。
南島はグッジョブです!
8月31日23時59分以降からオークランドから南側は警戒レベル3へ
ほとんどのケースがオークランドということ、同市の全ての感染者数の把握が出来ていないことが予測されることから、オークランドとオークランドから北側のみは警戒レベル4が継続されます。
オークランドから南側は警戒レベルが引き下げられ警戒レベル3となります(とは言っても、まだロックダウンの範疇なのですが、非接触型の受け渡しで持ち帰りの外食が出来るようにもなります)。
ここで気になるのは、「感染者が出ているウェリントンがなぜ警戒レベル3に引き下げになるのか」です。
現在ウェリントンで確認されているケースは既存の感染者との濃厚接触者で既に隔離済みの方達となっています。
更に、感染者が訪れた場所のリストも25日以降は増えていません。従って、新たな感染のリスクは極めて低いという認識の下での判断だと思います。
ウイルスの動きが把握できている(と思われる)んですね。
……ということはオークランドに関してはまだ全容が掴めていないということですね汗
まとめ
長々とお付き合い頂きありがとうございました!
せっかく色々作ったので日本語に変えて説明をしていったら長くなってしまいました。
アップルのデータは面倒くさくてコピペをしてしまう有様です。あはは。
データを見る限りでは、既にピークを迎えていてこのまま収束していったとしても、オークランドは警戒レベル4を2週間程度延長、警戒レベル3が1-2週間程度のロックダウン期間は十分現実的なように思えます。
オークランド組はもう少し頑張りましょうね。
オークランドから南組はたくさんエンジョイしてください!
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参考文献
1. Kang, M., Xin, H., Yuan, J., Ali, S. T., Liang, Z., Zhang, J., … & Wu, P. (2021). Transmission dynamics and epidemiological characteristics of Delta variant infections in China. medRxiv.
2. Ministry of Health. (2011). COVID-19 Variants Update. https://www.msd.govt.nz/about-msd-and-our-work/publications-resources/research/business-of-ageing/index.html
3. Ong, S. W. X., Chiew, C. J., Ang, L. W., Mak, T. M., Cui, L., Toh, M. P. H., … & Young, B. E. (2021). Clinical and Virological Features of SARS-CoV-2 Variants of Concern: A Retrospective Cohort Study Comparing B. 1.1. 7 (Alpha), B. 1.315 (Beta), and B. 1.617. 2 (Delta).
4. Liu, Y., & Rocklöv, J. (2021). The reproductive number of the Delta variant of SARS-CoV-2 is far higher compared to the ancestral SARS-CoV-2 virus. Journal of Travel Medicine.
5. Public Health England (PHE). (2021). SARS-CoV-2 variants of concern and variants under investigation in England: Technical briefing 15.