色々と問題が指摘されているニュージーランドのビザ制度。
中でも、Skilled Migrant Category Resident Visa(技術部門の居住権ビザ)の申請前のポイント申告に相当するExpression of Interest(EOI)は昨年から選別が止まっていることもあり特に問題視されています。
最近、そこにちょっとした動きがあったのですがこれが少なからず波紋を呼んでいます。
まだまだ不透明な部分や不確定要素も多いので、本来ならばこの様な記事は書かないのですが、今回に関しては大々的に報道されてしまったこともあり、そこからの問い合わせが多く寄せられたことから説明をすることにしました。
まずはEOIとSkilled Migrant Category Resident Visa(SMC)のプロセスと現状について簡単に書きます。
Expression of Interest(EOI)とSkilled Migrant Category Resident Visa(SMC)
SMCは技術部門の居住権ビザで、ニュージーランドへの移住で良く利用されるビザタイプです。審査に時間がかかることでも知られていますね。
このSMCを申請するには、Expression of Interest(EOI)という、「学歴や職歴、年齢等をポイントに換算し、これだけのポイントを取得出来ます」という自己申告制の関心表明プロセスをしなければいけません。
規定のポイント以上を申告することができればEOIが自動選別され、SMC申請への招待が届き、ポイント取得を裏付ける書類を提出した後、担当審査官がつくのを待ちます。
現在の規定では160ポイント以上のEOIのみが選別され、申請の招待が届きます。
EOIの選別の停止
2020年3月にEOIの選別プロセスが停止されました。それでも現在でもEOIの申請を行うことは可能な為、選別を待っているEOIの数は今も増え続けています。
選別はされたが担当審査官がつくのを待っている申請数も増えている
EOIが選別され、SMCの申請招待が届きその後申請をしても、すぐに審査が開始されるわけではありません。最近では、担当審査官がつく(審査が開始される)までに1年以上かかるようになっています。
2021年9月13日の時点で、担当審査官待ちの申請件数は11,541件あり、その中でも最も古い申請は2019年11月に行われたグループです(最新のレポートはこちらから確認できます。)。
上記だけ読んでも、どれだけ遅れが出ているか良くわかりますよね。
注:優先的に審査される枠もあるのですが、それについては今回は割愛します。
EOIの選別再開時期と現在の状況
2020年10月19日、EOIの選別プロセスの停止が更に6ヶ月延長となる発表があり、この決定についての見直しは2021年に行われるとの発表でした。
2020年10月時点で「半年間」とのことでしたので、2021年3月頃に何らかの発表があるかと思いきや、基本的には現在も何の情報もないまま今に至ります。
再開時期について尋ねられる度に、移民局長のクリス・ファーフォイは「Soon(もうすぐ)」と言って言葉を濁しているのですが、2021年4月の時点では「技術部門の居住権ビザの見直しが優先事項だ」と更に踏み込んだコメントを残していました。
ここで示唆されている噂になっている「見直し」というのが最低選別ポイントの引き上げやポイント配分の変更です。
8月中旬に「うっかり出てしまった」ポイントページ
8月中旬、EOIのポイント計算ページに以下の変更点が一瞬だけ追加されました(現在は削除されています)。
少し読みにくいですが、ここから読み取れるのはポイント配分の変更と新たなカテゴリーです。
- 人材不足分野での雇用で、10ポイントから30ポイントに
- 登録が必要な職種で働いている場合は20ポイント
現時点ではこの変更が決定しているというようなことは一切出ていないのですが、何らかの変更に向けて準備が進んでいることは確かです。
ポイント配分の上昇が意味するものは?
ポイント配分が上がったことから懸念されている事柄の1つが、EOI選別に必要となるポイントの引き上げです。
例えば、選別最低ポイントが現在の160ポイントから190ポイントに引き上げらる、といった形です(もちろん、これはあくまでも例え話です)。
もし選別最低ポイントの引き上げがある場合、EOIの「申告時」の規定ではなく「選別時」の規定が適用されます。
そうすると、160ポイントピッタリでEOIの提出をしていた方が選別に漏れてしまうという事態が発生します。
今のタイミングでの規定の変更は、現在選別を待っている方達の大きな反感を買うことになります。
2021年内に何らかの発表をするとのことなので、遅くとも11月までには何らかの情報が発表となると感じています。
12月に入ってしまうとホリデー期間になってしまうのと、万が一発表後に内容にミスがあった場合(最近はほぼ毎回の様な気が)、それを訂正する為し説明をするだけの十分な時間の確保を考慮すると遅くとも11月頃と感じています。
ということで、今回は最近噂になっていたEOIのお話でした。
Power In Numbersは、ビザ専門家のイミグレーションアドバイザーの会社です。
ビザ申請サポートだけではなく移住相談や留学の相談も承っています。
お気軽にこちらまでメールをしてください。