「毎日マクドナルドを食べているのに、なぜか儲かっている気がする」
という話があるとすればどうだろうか。
そんなはずはない、何かが間違っているに違いない。狐か狸に化かされたのか。そう思われる方がほとんどだろう。
しかしニュージーランドでマクドナルドを食べ続けたら、実際に得をしてしまったのだ。そんな現代のおとぎ話のような体験談をお届けしよう。
マクドナルドの「モノポリーキャンペーン」とは何か
ニュージーランドのマクドナルドでは、毎年ボードゲームの「モノポリー」を題材にした大型キャンペーンを展開している。
期間中は対象商品にシールが添付され、めくって出てきたコードを専用アプリで読み取ると、ビッグマック無料券からフォルクスワーゲンの新車に至るまで様々な賞品が当たるのだ。
賞品総額は1億700万ドル以上、日本円に換算すると約86億円という、超大型懸賞企画なのである。
筆者はこのキャンペーンを愛しており、昨年も足繁く近所のマクドナルドに通ってせっせとシールを集めていた。
今年は新型コロナウィルスの影響で延期されたものの、9月から無事にキャンペーンが始まった。
まってろフォルクスワーゲン。君を当てるために今年もマックを食いまくるぜ。
ということで早速ビッグマックセットを食べた。しょっぱくて旨いですね。
最も効率の良いシールの集め方は何か
ビッグマックを頬張りながら、わたしはふと考えた。
どうせなら、一番効率の良いシールの集め方をするべきではないだろうか。
昨年は何も考えず、シールが6枚付いてくるセット商品を食べまくっていたが、本当にそれが正解なのだろうか?
効率よくシールを集めるとは、シール1枚あたりの単価をできるだけ下げることである。
たとえば同じシール6枚が付いてくるセットでも、その価格は商品によって異なる。
右の「ザ・シリアス・アンガス」Lセットは14.8ドルだが、左の「オールマイティ・テキサン」Lセットは16.9ドルと1.9ドル高い。
これをシール1枚に換算すると、「ザ・シリアス・アンガス」はシール1枚あたり約2.4ドルなのに対し、「オールマイティ・テキサン」では約2.8ドルにまで跳ね上がる。
ちなみにシール対象賞品はマックフライポテトやドリンク、「グルメレンジ」と呼ばれる高価格帯のハンバーガーなどで、定番メニューのビッグマックやクォーターパウンダーなどは含まれない。
わたしが頼んだビッグマックのMサイズセットは、11.4ドルでシールが2枚のみ、つまり1枚あたり5.7ドルという、最も不経済な選択肢だったのだ。これは迂闊であった。
しばしメニュー表を眺めると、最もシール効率の高い商品はメニューの右端にひっそりと掲載されていた。
Lサイズのドリンク、一杯4ドルでシール2枚! すなわちシール1枚が2ドルで買えるのだ。これよりシール単価の安いものは存在しない。
この瞬間、今年のモノポリーキャンペーンにおける作戦が決定した。
マクドナルドでLサイズのドリンクを注文し続ける。
ハンバーガーはおろかポテトにも一切目をくれない。これが最小の投資で最大のリターンを狙うベストプラクティスなのである。
かくして、シールめくりのためにマクドナルドに通う日々が始まった。
作戦1日目: さっそく作戦遂行に失敗、しかし新たな知見を得る
月曜日の午後2時、わたしはマクドナルドのレジ前にいた。
わざわざマックに並んでドリンクのみを注文するために。
店員からは「え、それだけですか?」と訝しがられるであろう。
ドリンクしか頼まない怪しげな東洋人として、一瞬で認識されるに違いない。
なに、それでも構わぬ。わたしは決して腹を満たしたいわけではない、豪華賞品につながるシールがほしいだけなのだから。
順番が回ってくる。わたしは鉄の意志をもって口を開いた。
「ドリンクのLサイズと、ポテトのLサイズをください」
……しまった。
最後の最後で恥ずかしさが顔を出し、ポテトを追加してしまった。
だってコーヒーならともかく、マックでコーラだけ頼むなんてやっぱり変じゃないか。
どうせ飲み物を頼むなら、一緒につまむものがあったほうがいいじゃないか。
頭の中で必死に言い訳を並べつつ、自ら発見した完璧な作戦を遂行できなかった自分を責めた。
しかし商品が到着してみると、わたしはあることに気がついた。
お会計が8ドル。そしてシールが合計4枚付いている。
つまり、Lサイズのポテトもまた、シール単価2ドルを誇る最高効率メニューだったのである!
これは発見だった。なぜかといえば、レジ上のメニューにはポテト単品での価格が書かれていないからだ。
最近はマクドナルドの公式ウェブサイトでも商品単価を確認することができず、ポテト単品のシール単価は実際に注文する以外に確かめる術がなかった。
自分のうっかりが招いた結果ではあるものの、偶然にももう一つの正解にたどり着いたのだ。
ドリンクとポテトのLサイズを頼み続ける。これこそが真のベストプラクティスだったのだ。
かくして、コーラ片手にマックのおいしいフライドポテトをつまみつつ、最も安くシールを手に入れ続けるメソッドが誕生した。
さて肝心のシールである。めくってみよう。
はい、さっそく当たり〜!! 「ソーセージエッグマフィン」または「ベーコンエッグマフィン」の無料券をゲット。それぞれ約5ドル(約400円)はするのでうれしい。
そしてコードをアプリに読み込んだところ、「マックチキン」または「フィレオフィッシュ」の無料券まで手に入った!
マックチキンは7ドル(約560円)、フィレオフィッシュは6ドル(約480円)とそこそこの値段の商品である。
作戦初日は、8ドルの投資で12ドル相当の商品をゲットするというすばらしい戦果を挙げた。上々の滑り出しである。
35歳をすぎるとLサイズのコーラを飲み干すのが地味につらいという知見も得ました。
作戦2日目: 朝マックでチケットを2枚確保
前日手に入れたマックマフィンの無料券で朝食をとりにやってきた。
ソーセージエッグマフィンとベーコンエッグマフィンが選べるが、ベーコンエッグマフィンと引き換え。なぜならこっちのほうが10セント高いからな!
もちろんドリンクLサイズを頼んで追加のチケット2枚を手に入れるのも忘れない。ドリンク代の4ドルだけでこの朝食が食べられるなら豪華なもんである。
なお朝マックの時間帯なので、フライドポテトは提供されていなかった。
前日にかなり当たりを引いたからか、今回はドリンクSサイズを引き当てるに留まった。
それでも3ドル相当の商品だから、差し引きして実質1ドルで朝マックが食べられた計算になる。自炊するより安いかもしれない。
作戦3日目: さすがにそう毎日は当たらないか
1日目に手に入れたマックチキン引換券で豪華にランチ。7ドル(約560円)の食べ物がタダで手に入るのは大きい。
なぜフィレオフィッシュでなくマックチキンなのか? もちろんマックチキンのほうが1ドル高いからです。
前日ゲットしたドリンクS引換券も活用し、ポテトLサイズの料金4ドル(約320円)だけ払ってこの量である。
マックチキン久しぶりに食べたが、鶏むね肉がみしっとしてて旨いね。
シールを2枚めくるも、今回は両方「物件カード」であった。
物件カードは特定の組み合わせをすべて集めると豪華賞品が当たるのだが、最後の1枚は超レアチケットなのでまず集まらない。実質的にハズレである。
初日がかなり調子良かったので、こんな日があるのも仕方ないだろう。また明日シールをめくりに来ようと店を後にした。
作戦4日目: そして奇跡が起きる
前日にハンバーガーの無料引換券を当てられなかったので、この日は午後のおやつタイムに訪問。ポテトLとドリンクLのみを注文した。8ドル払ってチケット4枚を入手。
そして、これらのチケットが怒涛の引きを見せることになる。
まずは「フリーホビーセッション」に当選!
これは全国各地のゲームセンター「TIMEZONE」や、子供向けスポーツ教室で使えるクーポンだ。
子供がいない人でも、ゲームセンターの30分無料クーポンにも引き換えられるのでなかなかいい。少なくとも15ドル相当の価値はあるだろうか?
そして、ニュージーランド各地のエンタメ施設の無料券にも当選!
正直あまり期待してはいなかったものの、引き換え対象のラインナップが豪華で驚いた。
- 星空の町テカポの博物館「ダーク・スカイ・エクスペリエンス」入場券(30ドル相当)
- クライストチャーチの「国際南極センター」入場券(49ドル相当)
- クイーンズタウンの観光名所「ショットオーバー・ジェット」無料券(129ドル相当)
など、錚々たる顔ぶれである。
いろいろ迷った結果、国際南極センターの入場券と引き換えることにした。クライストチャーチに7年以上住んでるのにまだ行ったことないので、今度遊びに行こう。
また写真を撮り忘れてしまったが、ドリンクSサイズの無料引換券も当選した。4枚中3枚が当たりという驚異の引き!
結局いくら得をしたのか
さて、今回のモノポリー作戦でいったいいくら得ができたのか計算してみよう。
この4日間で使った金額は24ドル。そして手に入った商品総額はいくらかというと……
- ベーコンエッグマフィン: 5ドル
- マックチキン: 7ドル
- ドリンクS引換券2枚: 6ドル
- フリーホビーセッション: 15ドル(おそらく)
- 国際南極センター入場券: 49ドル
ということで、約82ドル相当の賞品が手に入った。
マクドナルドを食べてるだけでこんなに色々もらってしまって困惑ぎみだが、大企業が大盤振る舞いしてくれるのだからもらっとこう! ありがとうございます!!
2021年のモノポリーキャンペーンは11月9日で終了となる。対象商品の販売や、各種無料券の引き換えには有効期限があるので、気になる人はお早めにどうぞ。